2005/11/22

不忘年会ライヴ開催迫る

沖縄への演奏旅行から後ろ髪を抜けそうなほど引かれながら帰って参りました。
東京で一年の締め括りの演奏をさせて頂くためで御座います。
損はさせません損をしたら払い戻しさせて頂きます。
自身で申し上げるのも高慢稚気で御座いますがトランキル・オーヴァーの様な楽団は他には御座いません。
御友人御親族お誘い合わせの上どうぞ宜しくお願いいたします。

12/17(土)夜7時より
大久保 HOTSHOT
JR大久保駅北口徒歩1分 新大久保駅徒歩3分
大久保通り沿い 地下1階
新宿区百人町1-17-7
電話 03-3366-8681
http://homepage2.nifty.com/hotshot/
1500円+1ドリンク


投稿者:トランキルのやくみつる孝則

2005/11/12

11月12日 土曜日 やってきたぜ、石垣

昨日は座安さんにごちそうになって夜の那覇・国際通りを楽しんだが、12時を回ったくらいでホテルへ戻ったので、朝は9時ごろ目が醒めた。シャワーを浴びて着替え、みんなはどうしたかな、と思いつつ嫁さんとホテルの外へ出てみる。さすが沖縄、もう11月で午前中だというのに直射日光を浴びると、いったん本土で秋の空気を吸った肌には刺さるような感じすらする。
ちょうど通りをはさんでホテルの向かいで物産展兼即売会をやっていたので出発前に少しのぞいた。物産展とは言っても沖縄県内の物産展である。島ごとに特色があるんだなーと感心させられるが、なんで県内の特産品を集めているのかな、とも思った。
今回泊まっているホテルのある地域は那覇市の中でも新都心といわれる新しく開発された地域なので、自分たちのような県外からの旅行者に向けて企画されたんだろうか。
ヤギのヨーグルトを買ってみた。牧場の人だというオジイとオバアは「容器には150ccと書いてあるけど180ccは入れてあるよー」とニコニコしている。これぞ沖縄。プレーンと加糖のドリンクタイプ2種類を買ったのだけれど、加糖されたやつは飲みやすかったものの、プレーンタイプはほとんど柔らかいチーズ、しかも知っている人はわかるであろう強烈な羊臭。その濃厚な味わいには思わず笑ってしまった。
これ、飲めない人もいるだろうなあ。逆さにしてもなかなか落ちてこないし。
あと島の名前を忘れてしまったが、「島そば」というか、沖縄そばのなかでもその土地の出店がうまそうだった。さすがに朝は胃が受け付けなかったので見送ったが、沖縄そばにはやはりハマる。個人的には他の麺類は一日に二回食べたいと思わないが、沖縄そばなら食べられると思う。

10時にチェックアウトし、荷物をホテルにおいてまたまた国際通りへ移動する。移動のぎりぎりまで遊ぼうという魂胆、まだ遊び足りないトランキル一行なのだ。
おみやげなどを各自探すなかで以前から嫁さんと沖縄に来たときは必ず寄っている「久高民藝店」へ行く。琉球ガラスや陶器その他民芸品が豊富で、本当に見飽きない。しかし一緒にのぞきに来たデグチさんはおいら達以上に気に入ってしまったらしい。全然出てこなくなった。デグチさんをおいて残りの全員は先に公設市場へ移動してしまったのだが、それでも来ない。デグチさんの、気に入ったものに対する集中ぶりを見た気がした。
さて公設市場では市場の二階にある食堂でご飯を食べるのが大きな目的だったのだが、みやげものを見ている段階でやはり時間を使った結果、逆算するとあまり余裕のある時間ではなくなってしまっていた。しかし誰一人ご飯を食べるのは後にしようと言い出さず、ついにはタカツカさんのように「中身汁」(早い話が豚モツの煮込みスープ)を頼むという冒険にでるメンバーも。でもあまりの強烈さにやっぱり最後は残していた。…と思ったら、残飯禁止委員長カマチョが速攻で平らげていたのであった。

ホテルへ戻る頃は1分を争う状態。荷物を受け取り、待たせたタクシーに駅のエスカレータまで急行してもらって、時間に間に合うぎりぎりのモノレールに乗る。間に合ってよかったと全員でほっと胸をなでおろす。モノレールのホームで電車に乗るだけで盛り上がっていたのは変だったかもしれないと後で思う。
石垣までは1時間弱のフライト。あっという間過ぎる。時間の余裕があったら船もいいのかも。個人的には二回目の石垣だが、空港の施設が比較的以前の状態のままだったので懐かしい。少し雨が降っているなか、さとうきびの穂が見える風景の中を、バスで港のほうへ向かう。


民宿「石垣島」に到着。泊まらせていただく民宿「楽天屋」とは隣同士の敷地なのだが、「楽天屋」のご主人akeyboさんのお母さんが「石垣島」経営者という関係なのだそうだ。
「石垣島」は古くから石垣で一番格式が高い民宿とのことだが、瓦ぶきの立派な建物で、見るからにそういう風格だ。とりあえず広い「石垣島」の玄関から入ってすぐの居間に上がりこみ荷物を置かせてもらってしばらく待っていると、やがてakeyboさんが現れた。
akeyboさんは長身にボサボサの髪と髭と彫りの深い顔立ちの年齢・国籍・経歴不明といったいでたちで、インパクト大。話せば落ち着いた声でこれまたなんとなく哲学的な雰囲気がただよう人だ。座安さんに引き続き、またまた濃いひとに出会ってしまった感がある。
以前からakeyboさんと交流のあったカマチョ、タカツカさんが旧交をあたためているのを聞いていたが、ネットで日ごろからやりとりしていると、こうして実際に会ったときに話がはずむものなんだなと感じる。自分は仕事でパソコンを使う時期が長かった分、音楽をやりはじめてからむしろパソコンやネットを遠ざける傾向にあったが、こうやって日本じゅうの話の合う人と交流できるのはすごいことだといまさら実感した。


荷物を置いてさっそくセッティングに向かう。考えたら今晩ライヴなのだ。すっかり観光気分になっていて、なんだが現実味がない。
会場のライヴハウス「すけあくろ」は市場前の通り沿い、通りから少し奥まった入り口から入った地下のお店だ。バースペースから少し階段で降りたところに客席とステージがある。席数は40席くらい、立ち見を入れたら60人近くは入る。予想したより広くてうれしいけれども、果たしてどのくらい埋まるかな、という気もした。
マスターに挨拶してセッティングしていく。ドラムセットはジャズセット位の大きさだったので、スネアはお店のものを使うことにした。限りなく中音(メンバー同士が聞いている音のバランス)がそのまま客席に伝わる、あまり作りこまない感じがやはり沖縄ぽい。昨日の野外よりはこういったライヴハウスのほうが慣れているせいか、少し落ち着くものだと感じる。壁にはジャズやボサノヴァのレコードジャケットがいっぱい。それだけを見てもマスターは生音が好きな人なんだな、と思った。


軽めの夕飯を済ませて「すけあくろ」に戻ると、すでにかなり人が集まっていた。ビデオのセッティングをしたら、もう開演時間だった。
akeyboさんのバンド、「ケミカルパパ」の演奏がスタート。ヴォーカルのマー坊さんの歌がはじまると一気に関西のライヴハウスの雰囲気になる。そう思っていたら、アキーボさんが歌いだすと一転してバンドの印象が混沌としてくる。そのへんが良い感じ。akeyboさん達は5曲くらいで、あっという間にトランキルの出番になった。
例によって一度退場する。小声で「オスッ」と声を掛け合うのがトランキルの儀式なのだ。さあ、出囃子をかけて登場だ。

曲順は同じなのだが、ライヴが始まってすぐは正直言って個人的にはノレなかった。
今考えると昨日のセカンドステージで少しテンションが下がってしまった部分からうまく気分を転換できないでいたのかもしれない。しかし、この夜はお客さんの声援が素晴らしく、それにだいぶ助けられた。
カマチョの友人で石垣在住の中澤夫妻をはじめ、トランキルの訪問を待って集まってくれた人達のエネルギーがすごかった。それを身近に感じ、時間が経つにつれていつの間にか自分のエネルギーも上がってきた感じだった。ライヴ終盤ではカマチョも客席とコール&レスポンスの関係ができていて、何もかもスムーズに流れていた。その中で「got to tell you」が流れ、トランキルのライヴ本編は終わった。大きな拍手が気持ちいい。

ここで今回トランキルが石垣まで来ることが出来た恩人でもあるakeyboさんとセッションをしよう、ということになった。トランキルはずっと過去を辿れば必ずライヴごとにセッションをしていて、昔はむしろセッションやアクシデントを楽しむようなステージをしていたものだが、最近はきっちりバンドアレンジで楽曲を仕上げてきているので、こういうのは久しぶりだ。カマチョのギターをakeyboさんが弾き始め、カマチョはピアニカに持ち換える。ファンク調の出だし。カマチョの歌うアドリブに対して、akeyboさんも応え、盛り上がっていく。ふたりともさすが言葉の人でセッションながらGOODなフレーズがバンバン出てくる。クライマックスはakeyboさんの壮絶かつ独特なラップ(早詠い?)これはすごかった。まさにハイライトにふさわしい内容となった。

ライヴ後はそのままお店の閉店まで飲みながら、来てくれた人々と延々会話する。途中占い師に憑依された参加者もあらわれ、いろいろな人の前世があかされたが、残念ながらよく覚えていない。散々飲み食いしたのに、ケミカルパパのボーカル、マー坊さんがやっている京風うどんのお店に移動してまた飲んだ。akeyboさんの爆笑トークが止まらない。深夜放送みたいになっている。みんなアンテナの近くに居すぎて、電磁波にやられてしまったみたいだ。おかしくて腹も顔も痛い。こんなに笑ったのは久しぶりだ。それでも三時を回ってタカツカさんと宿へ引き上げるが、カマチョとakeyboさんは兄弟みたいになってまだゲラゲラやっていた。タカツカさんが、いったんお店を出たあと忘れ物に気づき、取りに戻ったが、「帰って来れないかも…」と真顔で言っていたのがおかしかった。雨でぐちゃぐちゃになった粘土質の道をぺたぺたと歩いて楽天屋まで帰った。石垣の夜は長い。まだそこここに人の影がある。部屋に戻ったらあっという間に熟睡した。気持ちよかった。

文責:かつお@Drums

浦添ライヴ終了 その翌朝

その翌日である。
興奮のためか寝付けない。
3時間ほど寝た、朝。

昨日は生まれて初めての2ステージ。
ジャニーズやモー娘なら
若いからやれるんだろうけど、
2ステージは大変だった。

体力的にはへとへとなんだが、
精神が覚醒したまんまなので、
早い那覇の朝を迎えている。

今日は昼に石垣島へ飛び、
夜、ライヴだ。
疲れが取れればいいな。
仮眠も取れると、なおいい。

それでは股!

投稿者:鎌田浩宮

2005/11/11

11月11日 金曜日 浦添バークレーズコートからアニミズムの世界へ

早起きしたら、なんて考えていたが、結局9時ごろに起きるのが精一杯だった。
昨日よりは雲が多いが、それでも上々の晴れ。ライヴ日和!
10時にロビーへ集合してタクシーに分乗で浦添へ向かう。
到着してみると一応グランドオープンなのだが、すでにオープンしていた店舗もあるせいか、取り立てて「オープンでございます!」みたいな雰囲気は感じないのが沖縄ぽい。
それでも記念にボックスティッシュを配るようなサービスはやっていて、気づけばステージとしてセッティングされているのが、もろにその入場導線の脇で、立ち止まって聞いてもらえるのか少し不安になる。この不安はやがて現実化するのだが…。

現場では音響の男の人と、助手の若い女の子のふたりが待っていてくれた。
モニタもアンプも、そしておいらのドラムセットもばっちり揃っていて、ようやくライヴやるんだ、という気になってくる。さっそくセッティングをはじめる。


プライドリームの宮城さんともご挨拶する。今回の手配関係は宿をはじめ大変お世話になったのだ。
せっかく呼んでもらったのだから、いい演奏をしたい。

ガムテープをベタベタ貼り付けてタイコの音を調整する。
自分の場合、バシバシするのがあまり好きでないので、適当にアタックがまろやかになるようにしている。バスドラムのヘッドがバンバンするタイプだったので、かなり苦労して音を作った。
しかしいつも実際に録音を聴いてみるまでは音のことは正直なところわからない。とにかくその時々で気に入るまでやっているわけ。
カマチョは歌に集中している様子。デグチ、タカツカ両氏もほとんどセッティングは終えて指を慣らしているのが、ちとうらやましい。


軽く弁当を食べて、2時。いよいよ沖縄初のステージだ。いつもの出囃子に乗って登場。
「ひとりぶんのチケット」がスタートした。上々の滑り出し。
お客はどうか?
少しびっくりして立ち止まる様子の人が三々五々見受けられるが、若干遠巻きに見ている感じ。
カマチョは芸人ぶりを発揮してアドリブを連発するのだが、いかんせん奥まったところにステージがあるためお客さんの反応がわかりづらい。
しかしいったん演奏を始めてしまえば作動モードに入るのがバンドという生き物。どんどん演奏していくのである。

実はファーストステージは普段より若干テンポアップしてやろうということになっていた。
ノリよくやりたいのがその目的。しかし思った以上に立ち止まってもらうのに苦戦している。
1曲は聴いてくれるのだが、いったん演奏が終わると歩いていってしまうというパターンが多い。
もう少しじっくり聴いてもらえたら…と思いながらライヴは進んだのだが、最後のほうはお客さんのことも意識から離れ、かなり演奏だけに集中していた。
こうして沖縄ではじめてのステージは終了。予定通り1時間のフルステージとなった。

休憩時間、ステージ後ろのテーブルでつかの間休息する。西日が差し込んでる。強い。
次のステージのテンポは、もともとやって来た通りにしようということになった。
聴いてもらいたいなら、曲本来のよさが伝わるテンポにするのがいい、というのが
実感として生まれたからだ。聴かせたいし、聴いてもらいたいからである。


4時からセカンドステージがはじまった。ファーストと比べて音が落ち着いた気がする。
このまま行くぞ。お客さんも、数曲聴いてくれる人など、ちらほら「観客」が現れてきた。
スタート直前にデグチさんがオバアに「何時からやるの?」とか聞かれてたしなあ。
皆、ライヴやってるよ~、見に来てくれよ~。カマチョも繰り返しMCする。
新曲「あなたといつまでも」の反応がやはりいい。トランキル式青春歌謡。
買い物帰りのオジイも、まぐろを手に拍手してくれる。
しばらく見てくれていたが、ぶら下げたまぐろは大丈夫だったのだろうか?
いいお客さんだ。


今回トランキルが沖縄へ来ることができたのはこのショッピングセンター「バークレーズコート」を仕切る座安さんのおかげなのだが、その座安さんもご夫婦で見に来てくれた。
後でカマチョから聞いたが、基地まで聞こえるように歌え、と応援してくれたらしい。
そうトランキルには戦争の馬鹿馬鹿しさを歌った「音楽」という曲もあるのだ。


ステージの最後の曲は「got to tell you」。これは昔の戦争を歌った曲。
缶カラ三線(サンシンと読みます)、沖縄の海、空…、
そしてライヴが終わった。

音響は非常によかった。
天井があるので自然とリバーブが効いていたせいもあるが、その中で聞き易い音づくりをしてくれようとしていたのが、あとから録音を聴き返すとよくわかるし、ビデオでもちょくちょくPAのスピーカーの前へ出てきて音をチェックしてくれる姿が映っていた。感謝です。

1時間×2ステージはどうだったかというと、肉体より精神的に疲れたという印象だった。
これはお客さんからのエネルギーとはどういうものであるかを、図らずも実感するライヴだったといえる。
つまり、普段はお客さんがいる状態で知らず知らずのうちにエネルギーをもらって演奏していたということに気づかされたのだ。
許可をもらってステージ前にテーブルと椅子くらい出せたなあ、と後から思うが、これこそまさに後の祭り。
そういう余裕をもってライヴやらなきゃなあ。いい経験した。

片づけして、関係者へお礼をして撤収。再びタクシーでホテルへ戻る。
帰りは若干道が混んでいた。いつものラッシュアワーなのか。夕焼けがきれいだ。


ホテルで機材を降ろしてロビーでとりあえずカマチョとビールで乾杯。
一服しようとしたら、もう座安さんが来るという連絡が。
今晩はごちそうになるのだ。
座安さんは昼のスーツとは変わってかりゆしウエアで登場。さすが似合っていてかっこいい。

小禄までゆいレールで出かける。駅を降りてすぐのイタリアン・レストラン。
沖縄でイタリアンとは思わなかったが、逆に沖縄の人は毎日沖縄料理なのだ。
料理もワインもおいしい。座安さんの奥さんと高校生の娘さんも途中で加わり、おしゃべりに花が咲いた。

座安さんは若かりしころ東京で学生時代を過ごし、その後沖縄へ戻って今は事業をされている。
聞けば聞くほど色々な話が出てくるのだが、とくに沖縄の精霊信仰について、自身の体験を織り交ぜて語ってくれたことが自分には興味深かった。
エピソードはたくさんあるのだが、これは直接本人から話を聞いたのでなければとても伝わらない部分が多いのでここでは割愛するが、座安さんの哲学ともいうべき持論を自分流に解釈し、ものすごーく簡単に紹介すると、
「人間は植物の亜種。地球上の生命の大いなる部分は、動物ではなく植物なんだ。だから私はアニミズム論者なんだよ。人格神の宗教と違い、アニミズムはシンプル。いつでも道は右か左しか示さない。進むのは自分で、もし失敗すれば命を失うようなことだって
時にはあるのさ。」
ということだった。
これには正直シビれた。
実は長年自分には「何かの境界線上に」存在しているという自意識が強かったのだが、そのことについて大きなヒントをもらったように感じた。

大きな出会いに感謝しつつ、夜は更けていく。


文責:かつお@Drums